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<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹

第188章 偽り ― 姫&信長 ―


誰の血かわからない返り血を浴びて、武将の皆さんが戻ってきたのを見た時は、良かったと思う一方、誰かをその手で斬り殺したと思うと怖気がたった。

貴方の統一計画には名も知らぬ多くの血が流されている。

恐ろしい、けれど、その冷たさで人を蠱惑するちからに私は惹かれる。

それだからこそ貴方を愛してしまったのでしょう。

私は今宵も貴方の褥を暖める。

貴方が短くても休息出来るように努めるのが、世話役の仕事でもあるのだから。

いつか、私をまっすぐ見てくださるかしら?

その赤い瞳に今は映らない私を映してくださるかしら?

貴方の名は尾張の大名、織田信長様。

お父上が亡くなってから、お母上と実の弟に命を狙われ、反対に彼等を血のつながりがあるのに関わらず倒し、全てを蹴散らして今の地位を得ていらした。

織田より大きな大名を、その頭脳と行動で倒してきた、というのを歴史で習った。

未来に語られる貴方自身を知ったら、どう、思われるかしら。

「俺は自分で俺の未来は切り開く。そんなものを聞く耳は持たん」

貴方ならきっとこう答えるでしょうね。

私は貴方がいつか私を見てくださるまで、褥を暖め貴方の夜の相手となり続けましょう。

「お注ぎします、信長様」

今宵も私は貴方の杯になって、貴方の愛の無い全ての行動を受け止める、私なりの今の貴方への愛し方をお見せ致しましょう。


<終>
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