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<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹

第187章 酒と梅干し ― 謙信&姫 ―


「酌を頼む」

「はい!」

そして舞が注ぐ酒の馥郁とした香りが立ちのぼり、俺はこの香りで酒に興味を持つ。

ゆっくりと口に含むと確かにいつもの酒も美味いが、香りに負けない辛口のきりりとした口当たりを感じてこの酒も美味い。

杯を置き、箸を手にして梅干しを口に入れる。

しっかりした梅肉がねっとりと酸味を効かせる味わいは、確かに気に入っている梅干しとは違ってこれはこれで美味い。

安土で実際探したのは佐助らしいが、佐助がこれだけの物を探したのだろうか。

「そうだ」と答える舞に、俺はすっかり心を落ち着かせていた。

何故ならよくよく舞を見ると、舞は俺が贈った着物を着、髪の毛もいつもと違う形に結われ、化粧もいつもと違って艶やかな紅が俺を誘っているように見えた。

「今日はいつも以上に美しい、舞」

「あ…ありがとうございます、謙信様」

俺は気を良くし、更に舞に問う。

「その装いは俺の為なのだろう?着飾っていても俺に最後は脱がされるのに」

「…それでも謙信様のお誕生日ですから、少しは違う自分をお見せしたいです」

愛らしい事を言う舞に、俺は一気にからだの熱があがる気がし、立ち上がり舞の手を掴んでその場に押し倒した。

潤む舞の瞳はこれからの事を想像していてか艶っぽく、そのまま口付けを繰り返しやがて舞を人には絶対見せられない姿にしていったのだった。


<終>
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