<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第186章 Virtual valentine ― 武将&姫 ―
<秀吉の場合>
「こら、俺が居るのに、誰に贈るんだ?」
ひょいと横からスマホ画面を覗き込む秀吉に、舞は秀吉を見てにっこりして何気なく言った。
「うん、お世話になった人だよ。本物贈るわけじゃないから、お返しも気にしなくて良いしね」
「ふーん、お世話になったって例えば?」
秀吉の笑みにつられて舞は答える。
「うん、謙信様とか佐助くんかな」
途端、秀吉の表情が曇る。
「その二人は敵方だよな、いったいどういう事なんだ?どうしておまえが世話になっているんだ?」
はっと気付くも既に手遅れで、秀吉はまゆを吊り上げてにこにこしている。
「バーチャルでもチョコを贈るのは駄目だな、おまえにはお仕置きが必要だな」
「ええっ、だってただのバーチャルで遊びだよ?」
慌てて舞は言い訳するが、秀吉には通じない。
「ほら、こんなに寒い夜なのにおまえのせいでこんなに俺は熱くなっているんだ。責任とってくれよな」
秀吉が舞の手を取り、自分の頬にあてると、いつもより頬が熱い。
艶を含んだ秀吉の瞳が舞の目前に迫り、抱き締められキスが降ってきた。
「このまま仕置きしてやるから、バーチャルでもチョコは配ったら駄目だ」
<終>