<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第186章 Virtual valentine ― 武将&姫 ―
<信長の場合>
「ほう、貴様、そんなものであちらこちらにチョコを配っているのか」
信長に問われ、舞は目をぱちくりさせる。
「配るっていってもあくまでバーチャルですよ。だから本物が渡るのではないです」
「しかし本物でなくても送る理由があるから配るのだろう?」
「え…まぁ…お世話になった人にとか…なかなか会えないともだちとかに…」
「友人ならわかるが、世話になった者とはどんな人物だ」
更なる追及に舞は口を滑らせる。
「えーと、信玄様とか…」
敵側の名前を聞いた途端、信長のまゆがつり上がる。
「貴様、堂々と敵側の男にチョコを贈るのか」
「え…だって…だから…バーチャルですってば」
慌てて否定するものの、信長の機嫌は完全に悪くなる。
「貴様、良い度胸だな。今宵は眠れないから覚悟しろ」
「は…ええっ…ちょ…信長…さま…」
スマホを放り出され、ひょいと抱き上げられる舞が連れて行かれるのは勿論寝室。
信長の形の良い唇から降るキスに次第に蕩ける眼差しを送り、自ら信長にご奉仕もし、そして眠らせてもらえない一夜が過ぎる。
「のぶ…ながっ…さま…っ…もっと…欲しい、です…っ…」
<終>