<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第182章 Mon amour ― 姫&信玄 ―
「待っている。天女に再会出来るのを」
「信玄様!」
目の前で突然開いたワームホールに、私と佐助くんは現代へ戻される。
戻ってから佐助くんは、戦国へ戻るための計算を続けてくれた。
「戻れるかもしれない」
ある日、佐助くんがワームホールが開くかもしれない、と知らせてくれる。
「戻ろう、戦国へ」
二人で戦国へ戻る準備をし、本能寺へやって来る。
突然の嵐が来て私たちはあの雲が広がるのを目にする。
「佐助くん、あれ…!」
「ああ、ワームホールだ。行くよ、良い?」
「うん」
二人でしっかり手をつなぎ、離れないようにし、ワームホールへ飛び込む。
黒いもやがかかり、意識が飛びそうになる中、確かに声を聞く。
「俺の天女、戻っておいで、待ってるよ」
信玄様、待っていて、貴方のところへ行きます。
そんな思いに呑み込まれ、意識を失う。