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<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹

第175章 恋をする ― 姫&秀吉 ―


私が聞くと秀吉さんは、少し目じりを下げたいつもの優しい笑顔を見せる。

「俺のことは気にするな。ほら、おまえの気に入りの団子屋、行くぞ」

すたすたと歩き出す秀吉さんに、急いで横へ小走りに寄って歩き出す。



「団子二つと茶二つ」

「はい、お待ちください」

甘味屋に着くと、秀吉さんはここでもさっさと注文してくれて腰掛けるので、私も横に座ると秀吉さんは片手を伸ばし私の髪の毛を撫でてくれた。

「今日は少し風があるからな、髪の毛が乱れてしまっているな」

「大丈夫だよ、自分で出来るよ」

「いや、駄目だ、乱れているの、わからなかっただろう?」

秀吉さんの優しさが心にどんどん沁み渡って、思いがあふれそうになるのをこらえる。

いつか、秀吉さんの邪魔にならない時がきたら、気持ちを伝えても良いかな。

今は信長様の天下布武を手伝って忙しくしているから、私の思いを伝えるのは迷惑になっちゃいそうだもの。

お団子を口にしながら、私はそっと湯呑を口に運ぶ秀吉さんの横顔を覗き見る。

優しくて頼りになるおにいちゃんだと思っていたけれど、そうじゃなくて、私の気持ちは違う思いでこぼれ落ちそうだけれど、だからこそこれ以上甘えちゃいけない、自分の気持ちを素直に伝えてはお仕事の邪魔になると思い、押し隠して秀吉さんに笑顔を向ける。

「忙しいのに付き合ってくれてありがとう」

秀吉さんも柔らかい、私が目を細めてしまうような眩しい笑みを返してくれる。

「気にするなって言ってるだろう。俺が好きでやっている事なんだから」



その優しいところ、頼りになるところ、本当に大好きだよ、秀吉さん。

この恋心はまだ伝えられないけれど、思いを育て、秀吉さんを手伝えるような、そして釣り合うようなおとなの女性になったら伝えるから。



待っててね。


<終>
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