<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第174章 酒のさかな ― 謙信&姫 ―
「く、ち、うつ…し…」
舞は意味を理解して、一人で赤くなり動揺する。
「どうする、早くしないか。俺は喰わぬからな」
「…わかりました」
舞は箸を手に取ると、芋を小さく割り自分の口に入れ、謙信のすぐ側に膝立ちする。
「お、い、も、れひゅ…」
口に芋を含んだまま舞が言うと、謙信は舞の腰を抱き、からだ全体を自分に引き寄せ、二人の顔がすぐ近くに寄るようにした。
「はようせぬか」
謙信の何か企んだような視線に、舞はどきまぎするものの、そっと口を謙信の口元へ寄せ、口付けしながら芋を謙信の口内へ押し込む。
謙信は芋を自分の口内へ移し、舞は口を離そうとするが、謙信が後頭部を押さえてしまい離す事が出来ない。
「ん…んん…」
腰に回されていた手は、いつの間にか帯を解いていて、着物が乱れてしまっている。
唇を離した謙信は芋を咀嚼してから言う。
「おまえから口移しでもらう芋は甘くて美味いな。しかし、俺は芋よりおまえが良い」
謙信の手はそのまま舞のからだを沿い、舞は甘い声をあげ出す。
「そうだ、そのまま酒のさかなになるが良い」
謙信の企みが成功し、舞は梅干しの代わりに、謙信に愛された…
<終>