<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第173章 新年の罠 ― 姫&政宗 ―
「…ちがう…よ…」
お仕置きの後、息を整えながら私は言う。
政宗は蒼い瞳をこちらへ向け、じっと私が嘘をついたらわかる、と言わんばかりに表情で見つめてきた。
「政宗もだけれど、信長様も所作が本当に綺麗だなって思ったの。それだけだよ」
すると政宗はにっと不敵に笑う。
「そんなのわかってる」
「…え?」
私は呆気に取られる。
「おまえは信長様を見ているのは、動作が綺麗だと見ていたんだろう?そんなのわかる。だが、しかし」
横たわる政宗は、私の髪の毛を一房髪に巻き付け、私の顔を覗き込んで言う。
「それは良いが、その表情が明らかに信長様を見惚れていて、その顔が駄目だ」
「だ、駄目って…」
「あんな表情して他のおとこを見るのは駄目だ。信長様も気付いていたしな」
「そんなつもり、ないよ…」
「無くても有ったから駄目だと言っている」
政宗の声が瞬間鋭くなり、そして両腕で私の頭を囲い、動けなくしてしまった。
「約束してもらう。二度とあんな顔、他のおとこにしないって」
「うん、うん、しないよ」
私は急いで同意すると、政宗はそのまま私に口付けを落とす。
「…ん…ふ…」
「…そんないい加減な同意では、納得出来ないな」
「…そんな…」
政宗はそして早急な動作を私に送りこんで来た。
「いい加減な同意をしたから、またお仕置きだ」
「…あ、ん…」
そして、政宗にお仕置きという甘い罠に捕らわれる。
<終>