<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第172章 戦の後 ― 政宗&姫 ―
戦の終わった後は、死体が放置されて異臭を漂わせ、カラスが死体に群がる。
「そのまま放置、なの?」
舞の問いに、政宗は当然といった体で答える。
「片付けられないからな。周辺の民や僧侶が手向けの読経くらいはあげてるだろ」
「せめて敵味方関係なく、埋める事も出来ないの…?」
舞はまゆをひそめたきつい顔をして言うが、政宗の返事は変わらない。
「どうして俺達がそこまでやる必要が有る?」
「どうしてって味方の人達まで放置しておいたら、その…野生の動物に食べられたり、雨に濡れてしまったり…政宗の味方をして一緒に戦った人達なんだから、放置するなんて…」
舞の言に政宗は厳しい表情で言う。
「舞の言いたい事はわかるが、俺の兵だって戦いで疲れているのに、死んだやつらの事で更に疲弊させるわけにはいかんだろう。これはこの時代の理だ」
「理…政宗の言いたい事もわかるけれど、私にはやっぱり亡くなった人をこのままにするなんて…」
「じゃあおまえが埋めるか?死人のからだは日一刻と崩れていくからな。蛆がわいて耐えがたい腐臭がし、そんなんが大量に周囲にあるなか、ひとつずつ埋めていけるか?」
舞は、政宗の冷たい言葉に背中がぞっとする。
「出来ないよ…でもそんな言い方ないじゃない…私はただ…ただ…一緒に戦ったひとが私たちの代わりに死んで、それなのに放置なんて、どうにかならないかって思っただけ…」