<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第170章 流れる星の中で ― 佐助&姫 ―
「ふたご座流星群?」
俺の言った事を繰り返す舞さんに、俺は重ねて言う。
「うん、そう。寒いけれど、ちょうど今の頃がピークなんだ」
「へぇ。せっかくだから見たいな」
舞さんと俺はこうして戦国の夜空で、流星観察をする事になったんだ。
「幸い月灯りも少なくて、天体観測にはぴったりの空だな」
春日山城から少し離れた丘に昇り、俺は持ってきた布を敷いて舞さんに座ってもらい、やはり持ってきた羽織を肩に掛ける。
そして隣に座るとその羽織を舞さんは俺にも半分掛けてきてくれる。
「舞さん、俺は大丈夫だから使って?」
俺は気に掛けてくれているだろう舞さんに言うけれど、舞さんはあくまでも譲らないし、こんな可愛い事を言ってくれる。
「だって…佐助くんが風邪を引いたらみんなが困るでしょう?」
よし、じゃあ。
俺は自分の両膝を左右に広げ、舞さんに俺の膝の中に来るように言う。
「え…恥ずかしいよ、大丈夫だよ」
あくまで遠慮する舞さんに、俺は言う。
「俺がそうしたいんだ。俺が代わりに羽織も掛けるし、駄目かな?」