<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第169章 ひとりよがり ― 蘭丸&姫 ―
俺が言うと、舞様は寂しそうな表情になる。
「違うよ、心の中では蘭丸くん、貴方が大好きなの。でも、どうしても、貴方では足りないの。からだがもっと激しいものを求めているの。だから心とからだは違う。そう言っても蘭丸くんにはわからないよね…」
俺は舞様を抱き締める。
心では俺を好きでいてくれるんだ。
「それで良いよ。俺の事、好きでいて?俺も一人で好き勝手しないで、もっと舞様の事を見て、舞様を良くしたいよ」
「うん…うん…」
嬉しそうに頷く舞様を抱き締めながら、俺は自分が間違っていた事に気付く。
自分が良ければ相手も良いのは違うって事を。
他のかたがすごいという舞様を、俺はよくわかっていない。
だから、これから、舞様の事をようく見ながら、愛していこう。
俺は舞様に口付けを落としながら、そんな事を考えていった。
舞様が俺に見えないところで、薄く笑みを浮かべたのも知らずに。
<終>