<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第17章 東大寺 ― 姫&安土城武将 ―
信長様が私に聞いていらした。
「舞、貴様、香に興味は無いか?」
香と言われても何だかわからない。
「聞香(もんこう)を知らないんじゃないですか?」
私のきょとんとした表情に気が付いたのか、政宗が助け舟を出してくれた。
「貴様、知らぬのか?」
信長様が意外そうな顔をして私を見るけれど、本当の事なのでこくりと頷く。
「政宗、香を聞く準備を。秀吉達も呼べ。舞は聞香について政宗から学べ」
「はっ」
私は支度をする政宗について、聞香の事を聞く。
「香木を焚いて香りを楽しむのが香道。信長様があんなに喜んでいらっしゃる理由、わからないよな?」
「うん、わかんない…」
「信長様は蘭奢待(らんじゃたい)を戴いたんだ」
「らんじゃ…たい?」
「ああ、蘭奢待。正倉院の御蔵に入っている、超貴重な香木だ」
『正倉院なら社会の歴史で習ったよ?聖武天皇の時代の宝物を仕舞ってる御蔵だよね?』