<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第168章 熱情 ― 姫&政宗 ―
「これならいいかな?」
私は小さい皿に汁をすくうと、それを政宗に渡した。
隣に立つ政宗は皿を受け取り、ついとその汁を飲み干す。
少し上目遣いになって、まゆを寄せて、口にしたものを味わうその姿すらかっこいい。
私はそんな姿を見惚れるように見上げていると、私の視線に気付いたのか政宗はにやりとして口を開いた。
「どうした?なかなかうまく出来ているぞ。それにしても、そんなに味が気になるか?」
味付けがうまく出来ている事にほっとするものの、政宗の見透かすような瞳が私を射抜いて心の中まで読まれたみたいで、恥ずかしくなって横を向いてしまう。
「どうした?舞」
横を向いた私を、政宗の大きな手が伸びて両頬を包まれ、政宗のほうを向かされる。
「…ん、もう、どうして、そう心の中が読めるのよ…」
私は視線をあちらこちらに這わせながら言うと、政宗はくっと笑う。
「ははっ、おまえ、可愛いな。おまえの顔は考えが漏れてくるんだよ」
「考えが漏れる?」
思わず政宗のほうを見ると、青い透明な光が私をじっと見つめて艶めいた色を帯びている。
政宗の片手が私の後頭部を撫でると、その手で頭が政宗のほうへ引き寄せられた。