<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第16章 いちばん、好き ― 姫&光秀 ―
とにかく光秀さんと話したくて声を掛けたから、特に用は無いんだよね。
私が話題を探して目をきょろきょろさせているのを、光秀さんはすぐ気が付いたみたい。
「特に用って様子ではなさそうだな」
「え…いえ、あ、あります!私が光秀さんと一緒に居たいだけです!」
慌てて、本音が出てしまった。
光秀さんは、私の言葉に表情を変え、すぐ大人な笑顔を見せた。
「なんだ、俺と居たいのか。そんなに意地悪されたいのか?」
「…っ。光秀さんなら、意地悪されても良いです…っ」
私の顔がほてりを通り越して、真っ赤になっているのが、とてもわかる。
光秀さんはくすりと笑い、私の頬に片手をあてた。
「良いのか?途中で止めろと言ってもとまらんぞ?」
「…止めなくて良いです…っ」
「そうか…おいで」
見た事がないような綺麗な微笑みを見せてくれた光秀さんは、私を一室へ導く。
「光秀さん、世界で一番、好き、です」
私の一番の本音を伝えたら、光秀さんは目を細めて更に優しい笑みを見せた。
「おいで…甘い意地悪を教えてやろう」
もう、わかってるよ…意地悪で優しくて、胸がときめく甘やかな時が、これから始まるって。
<終>