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<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹

第163章 驚かし、驚かされ ― 信玄&姫 ―


忍び足のつもりだろうけれど、軽やかなあの足音は舞のものだろう。

きっと俺を驚かすつもりで、そっと歩いているつもりなのだろうな。

俺は驚かすつもりが、驚かされる役に変わる舞を想像して、くすりと笑みを浮かべた。

どれ、驚かしてやろう。

俺は立ち上がって静かに襖の側へ移動し、息をひそめて座りこんだ。

すると、ほとほとと襖を叩く音がして、俺は黙って控えておく。

一度襖を叩く音は止み、中から返事が無いので、再度ほとほとと叩く音がする。

「…あれ?」

小さく舞の困惑する声がし、居ると思った俺が不在と思い込んでいるようだった。

どうするのかと様子をじっと窺っていると、舞はその場でしばらく考えているようだったが、思い切ったように声を掛けてきた。

「えーと、失礼、します…」

ゆっくりと襖が開いてゆき、舞が一歩足を踏み入れ部屋に入ってきた。

「あれ…?信玄様、いらっしゃると思ったんだけど…」

文机に書きかけの文が置いてあるのに気付き、更に部屋に足を踏み入れたところで、俺が後ろから舞に覆いかぶさるように抱き締める。

「捕まえた」

「きゃっ!!」
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