<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第158章 ごほうび ― 姫&政宗 ―
「政宗、これで良い?」
「おう、いいぞ、本数も…良いな」
今、私が政宗と何をしているのかと言うと、政宗から香道を習っているんだ。
ただ香を聞くだけじゃなくて、せっかくだもの、自分で出来るようになりたいじゃない?
「よし、じゃあ香木を乗せてみな」
「うん」
ゆっくりと火の下ではなく、少しずらした位置に香木を置く。
すると仄かに香りが立ち上り、柔らかにくゆり出す。
「へぇ、初めてにしてはなかなか良い感じじゃないか」
政宗の青い瞳が優しく私を映し出し、私はその政宗の表情に照れ笑いをしながら、香炉を政宗に渡した。
「政宗師匠、いかがですか?」
わざと丁寧に聞いてみると、政宗はちょっと口をとがらせて師匠柄じゃねぇと言いながら、香炉を手にする。
「うん、いいな。焦げも無い。本当に初めてか、舞?良い師匠についたんだな」
政宗、師匠が良いって、さりげなく自分で自分を褒めてるよ。
私が気付いて言うと、政宗は笑って香炉を私に戻してきた。
「わかって言ってるんだよ。ほら、自分でも聞いてみな」