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<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹

第155章 甘いお仕置き ― 姫&光秀 ―


そういう事ではないけれど、何故か汗をかくと化粧が落ちるから、暑いのが嫌、という式が光秀さんの頭に出来上がってしまったらしい。

「…えいっ」

光秀さんに向かって、水をすくってかけてみた。

ぱしゃんと顔にかかる水に、前髪が少し濡れ、顔に貼りついた様は、何故か色気を感じさせて、たかがそれだけで私はドキリとした。

「舞、どういう事だ?」

光秀さんの三白眼が更に細くなり、私を獲物を見付けた猛禽類のように捕らえる。

「え、え…と、少しは涼しくなるかなって、えへ」

笑ってごまかしてみるけれど、光秀さんは私のところへずんずんとやってきて、そのままひょいと私を肩へかつぎあげる。

「あ…ちょっと、足、濡れてます…光秀さん、濡れますよ!」

着物が私の足をバタつかせた事で少し濡れてしまったのに、光秀さんは気にせず木陰に私を連れてくると下し、両腕の中に私の動きを閉じ込めた。

「悪い子はお仕置きだな」

光秀さんの瞳が妖しく、色気を増した揺らめきに、私は鼓動が跳ね上がる。

光秀さんの顔が私の首筋に近付き、軽く息が耳にかかる。

私はそれに反応し軽く息を吐くと、光秀さんの小さく笑うのが聞こえ、首筋に吸い付かれた事で、更にため息が深くなる。

そうなの、光秀さんにお仕置きと言いながら甘やかされるひとときが、始まる。


<終>
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