<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第155章 甘いお仕置き ― 姫&光秀 ―
「怪我、するぞ?」
草履を脱いで、足を水に浸す私を見て、心配する光秀さんに、私は笑みをこぼす。
「ふふ、大丈夫です。冷たくて気持ち良いですし、光秀さんもどうですか?」
「俺はやらぬ」
即答されて、私は目をしばたたかせるが、確かに光秀さんはこんな暑い日でも、汗をかく様子もなく、表情は涼し気。
「光秀さん、暑くないんですか?」
私が尋ねると、光秀さんが目を細めて答える。
「暑いとか寒いとか、俺はあまり気にならない性質らしい」
「…それ、すごいですね、うらやましいかも」
つい言ってしまった内容にかみつく光秀さん。
「何がどう、うらやましいのだ?」
光秀さんに問われ、つい、言ってしまう、暑さ故の愚痴。
「え…汗をかかなければ、化粧もはげる事ないじゃないですか」
私の言葉にくくっ、と笑う光秀さん。
「そうか、舞は汗で化粧がはげるのが嫌なのか。しかし気にせぬで良い。
俺はおまえの顔が化粧していようがしていまいが、全然気にしないからな」
「え…いや、そういう事でなくて…」