<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第154章 小さな幸せ ― 秀吉&姫 ―
「舞が漬けたのか?もしかすると」
俺が聞くと、舞がにっこりしながら言った。
「そう、ぬか漬け。政宗から教えてもらって作ってみたの、どうかな?」
小なすを口に運ぶと、しっとりとしたなすの口触りと、ぬかの味がしっかりついていた。
「美味い。夏にぴったりだな」
俺が感想を口にすると、舞は満面の笑みで喜ぶ。
ああ、可愛いな、妹止まりにしておかずに良かった、と自分で内心思った。
「本当?良かった」
「これなら朝餉にも良いし、酒のつまみにも良いな」
俺の提案に、益々喜ぶ舞。
「そうなの?秀吉さん」
「ああ、美味いぬか漬けは何と食しても美味いからな」
「気に入ってもらえたなら良かった。みょうがも美味しいみたいなの。漬けてみるね」
「へぇ、みょうがのぬか漬けか、それも美味そうだな」
俺が他の食材をぬか漬けにする話しに興味を持つと、舞がまた喜ぶ。
どうして舞は、こんなに可愛いのだろう。
遠い時代から来て、不安な中、いつの間にか俺達に馴染み、俺達と生きようとしている。