<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第153章 繋がる ― 姫&信玄 ―
何故、普通のOLだった私が戦国時代へタイムスリップして、歴史に名を残す『風林火山』の武田信玄と恋をしたのだろう。
『甲斐の虎』と恐れられ、猛将の名高い信玄様は、普段は女性好きの色っぽいひとりのおとこでしかない。
その信玄様はたくさんのおんなの人を捨て、何故、私を最後のおんなにしたのだろう。
「そりゃあ舞が飛び抜けてイイおんなだから、に決まっているだろう?」
どうして信玄様は、歯が浮くような言葉を普通に言えるのかな。
私は信玄様の言葉に嬉しいのと恥ずかしいので、赤くなるのを抑えられない。
好きな人の最後のおんなになる。
それは信玄様がたくさんのおんなの人の中から、私を選んでくれた事に他ならない。
だからおんなにとって、選ばれた勲章になるの。
「信玄様、私を離さないでくださいね。私も離れません」
「勿論だよ、俺の天女。だから俺に全てをさらけ出して欲しいな」
「…っ」
恥ずかしいけれど、求められるのは嬉しい。
そう、私の全ては信玄様に埋もれてゆくの。
私を捕まえて、私を連れて行って、私を信玄様だけが知る世界へ導いて。
二人の世界は巡り、次の世へ渡り、私達の愛を遠くまでつないでいって。
そして。
私達が、私達の新しい命に気付くのは、もう少し、後…
<終>