<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第152章 甘い意地悪 ― 姫&光秀 ―
「光秀さん、その表情、ずるいです」
私がちょっとふくれて言うと、光秀さんはおやおやという顔をしてこちらを覗く。
「その顔はかっこよすぎてずるいですよ…私、惚れちゃいます」
「もともとこういう顔なのだから、どうしようもないだろう」
光秀さんの瞳が色気を含んで私に近付き、そのまま私に口付けをする。
「ん…あっ…」
意地悪じゃない意地悪はこれから始まるの。
だって光秀さんは、私が欲しがるのをわかっているのに、なかなかくれないんだもの。
「…お願い…します…」
私の涙目になってからのおねだりに、ようやく光秀さんは欲しいものをくれる。
「しかたない、よし、おまえに俺をやろう」
甘くて冷たい、夜の意地悪。
でも私には光秀さんのこの意地悪が、光秀さんからの何よりの愛情表現だと思ってる。
『好き』をまっすぐ伝えられない光秀さんは、意地悪を通して私を好きだと言うの。
ようやく、私が欲しがったものを、光秀さんはくれる。
「みつ、ひで…さん…もっと…くださ、い…」
私のおねだりに、光秀さんは妖艶な笑みを深くして、私へからだを沈めてゆくの。
甘くて、冷たくて、大好きな…私への愛の意地悪は、続く。
<終>