<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第143章 淡い恋 ― 三成&姫 ―
こうして舞様と一緒にいるだけで良かったのが、だんだん最近はつらいのです。
「三成くん、どうしたの?何だかつらそうな表情だよ」
私の苦しい想いに気付かない舞様は、呑気に私に苦しそう、と言ってきます。
私は私の顔に触れようと伸ばしてきた、舞様の腕を反対に掴み、こちらに引っ張り、ご本人ごと抱き締めました。
「みつ、なり、くん…?」
抱き締める舞様の柔らかいからだを感じ、私はどうしようもなく、からだ全体が切なくて苦しくなってきてしまいました。
「私の…心を知ってください…海底より深く、舞様を愛する、私の心を…」
「うん…いいよ…」
小さく舞様の声が私が包む中から聞こえ、それはまさしく私の欲しい答え。
「三成くんの心、知りたいの…教えて、欲しい、な…」
こちらを見上げる舞様の表情は、艶めいて私がくらくらするようにおんなを表していて、私は思わず息を呑みました。
「…良い、んですね…途中で止まりませんよ…」
私の言葉に、舞様は頷かれ、私の恋が動き出します。
止まりませんよ、舞様。
貴女を愛する想いは、海の底よりも深い私の心。
全て知っていただいて、私の淡い恋が、深き愛に変わるのです。
<終>