<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第143章 淡い恋 ― 三成&姫 ―
深い海の底。
海底より深く私たちの愛は進行してゆきます。
誰も気づかない二人の愛は、ゆっくりと、静かに、いつの間にか芽生えていました。
周りからするとままごとのような、淡い恋。
「舞様、今日は会えましたね」
安土城の中にいても必ず会えるとは限りません。
「うん、今日は会えたね!三成くん、忙しいの?」
屈託ない笑顔を見せてくれる舞様が眩しく見えます。
「いえ、それほど。でも舞様はお忙しいそうですね」
私の問いに、舞様は頷かれます。
「そうなの。針子の仕事を結構依頼されててね」
「舞様の腕は評判を呼んでますからね。政宗様が最初に頼まれてから、信長様もお気に召され、家康様も依頼されていらっしゃるとか。皆様がお願いされるので、更に他のかたもお願いしたいと思っていらっしゃいますよ」
私が周囲の知っている事を伝えると、舞様は少し頬を染めて嬉しそうにされました。
「そうなんだ。そう言ってもらえると嬉しいな。がんばりがいがあるよ」
それからちらりと私を見ておっしゃいました。
「三成くんも良かったら、何か作る時、私に作らせてもらえると嬉しいな」