<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第139章 仲直り ― 義元&姫 ―
「母上…貴女は…」
義元はふ、とため息をつくと、寿桂尼をちょっとにらみ、そして、言った。
「きっかけをありがとうございます。舞、おいで」
ぐい、と手を引き、義元は舞を連れて部屋の外へ出る。
「ほほ、仲直りしたら、また二人でこちらにいらっしゃいな」
「ありがとうございます、母上。失礼します」
義元はぐいぐいと舞を引っ張り、自室へ戻る。
自室へ入った途端、義元は舞を抱き締める。
「仲直りしよう。俺が悪かった。母上におまえが倒れたと聞いた時、目の前が真っ暗になった。それくらいおまえが大切な存在になっていた。だから、俺が悪かった。もう許して欲しい」
義元の耳に囁く言葉と、同時に帯を解く動きに舞は腕から逃げようとする。
「だめだよ、舞…俺を許して欲しい…」
「ん…わか…っ、た…」
帯を解かれた着物は、義元がするりと脱がせてしまう。
「義元さん…私も、強情を張って、ごめんなさい…」
舞も義元の背中へ両腕を回す。
「仲直り、しよう…」
二人が重なり、仲直りして愛を確かめ合う姿が、部屋に置かれたほのかに燻る香と絡まり、濃密な愛を作り上げていった。
<終>