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<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹

第138章 一興 ― 信長&姫 ―


「うー、また負けたー」

当然、俺が勝つのだ、いい加減に諦めろというのに、なかなか情の強い(こわい)おんなだ。

「もう一局、お願いします!」

「良いだろう。それより、今、負けた分と次に負けた分、二か所どこかもらうぞ」

「…覚えてなくて良いです」

俺が今の勝負で勝ち、からだのどこかをもらうのを、忘れさせようとしたらしい。

ちっ、とごく軽い舌打ちが聞こえ、きっとこれは舞の作戦失敗らしい。

俺は内心笑いながら黒石を置き、他の黒石をこすり合わせながら盤を見て、舞がどこに白石を置くか期待しながら見た。

全くの素人が、三成から指導を受けているらしく、少しずつ上達しているのが目に見えてわかる。

だからこそ面白い、おんながどこまで成長していくか見ていくのを。

ぽちりと白石を置くのを見て、そんなところに置いて良いのかと思いながら、俺は次の黒石を置き、続けて行けば、また当然のごとく、黒石でほぼ占められた盤が残る。

「俺の勝ちだな」

俺はにやりとし、碁盤をそのまま横へ動かしてずらすと、目の前に座っている舞の手首を掴み、俺の膝の上にひっぱる。

ずるりとひっぱられ、俺の膝の上にきた舞は顔を真っ赤にし、身の置き所がないといった体だ。
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