<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第134章 餡より甘い ― 家康&姫 ―
俺はそのいびつなまんじゅうを何もかけずに口に入れ、一口かじった。
甘い餡がたまらなく苦手だが、舞が作ったものなら食べる。
「あのね、中の餡も作るの手伝ったんだ」
「政宗さんが作ったのを手伝ったの?」
「うん、そう」
なんだ、じゃあ、餡は食べる必要は無いな。
でも手伝ったというので仕方なく一個を丸ごと食べて、急いでお茶で甘さを流した。
「何か、変だった?」
「いや、どこもおかしくないけど、やっぱり甘いのは好まないから、どうせなら辛い菓子を作ってくれる?」
「えー、そうしたら家康しか食べる人がいないじゃない」
少しむくれたように舞が言うので、俺は舞の肩を抱き寄せてそっと言った。
「甘いのは、あんただけで充分だ」
「…っ」
俺の囁きに途端に顔を赤くする舞は、本当にうぶくて可愛い。
俺は抱き寄せた舞の髪に口付けをし、こちらを向いた舞に口付ける。
甘い餡の味はあんたに口移しだから、しっかり食べてよね。
俺は舌を舞の口に差し込みながら、餡の味を舞にうつし、そのまま舞を堪能する動作に入り、舞が俺にしか聞かせて欲しくない、切ない声をあげだした。
<終>