<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第134章 餡より甘い ― 家康&姫 ―
「家康、トウガラシそんなに掛けちゃからだに悪いよ」
舞に、何故俺の好物のトウガラシを、まんじゅうにかける事にいちいち文句を言われるんだ。
「好きなんだから良いでしょ」
俺は気にせず、ばさばさとトウガラシをかけて、まんじゅうを口に運んだ。
うん、甘いのが辛さに打ち消されて、少し甘いだけになって良い感じだ。
「もう…あんまり辛いもの食べすぎるのって、からだに良くないよ?」
舞に言われ、俺はまんじゅうを食べながら舞の顔を見た。
「だったら俺にまんじゅうを食わせなければ良い話しでしょ。
俺は甘いものは好きじゃないって、はっきり言っているんだから」
「そりゃそうだけど…そのおまんじゅう、なんか形がいびつだと思わない?」
舞に言われ、もう一つ取り上げて見ると、確かに綺麗な円はなく、いびつな円をしている。
「もしかして、舞が作ったの?」
「うん、政宗に教えてもらったんだよ。家康に食べてもらおうと思って」
「…わかった。トウガラシかけないで、もう一つ食べるよ」
舞が作ったなら話しは別。
本当は嫌いだけれど、一生懸命に作ってくれたなら、食べないと悪いでしょ。