<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第133章 たぶらかす ― 光秀&姫 ―
舞が突然、俺に抱き着いてきた。
「どうした?」
舞の顔を覗いて俺は問う。
「光秀さんがどこかに行ってしまいそうで、時々怖いんです」
舞が俺に抱き着いてきた理由はそれか?
「はい、どこか行ってしまわないように、私が光秀さんを捕まえます」
そして、俺を更にぎゅっと抱き締める。
俺はそんなに信用が無いか?
「信用があるとか無いとかではないです。とにかくどこかへ行ってしまいそうで、私は不安になる時があるんです。だからこうして光秀さんを捕まえていたいです」
成程、頭の軽い小娘らしい、しかしながら、可愛い事を言うものだ。
俺は笑みを少しだけ浮かべると、舞を反対に抱き締めて囁いた。
「それでは、俺とおまえと二人だけになって、俺を誑し込んでみるか?」
「え…それって…」
俺はにやりとして、舞をけしかける。
「俺を捕まえるなら、俺をたぶらかさないと無理だぞ?俺をおまえなしでいられないようにしてみてはどうだ?」
「それは…そんな…」