<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第130章 甘い時 ― 姫&幸村 ―
「幸村!」
ようやく会えた大好きな貴方。
私はぴょんと幸村に飛びつき、幸村はそんな私をしっかり抱き留めてくれる。
「よく来たな。もう離さねぇぞ」
「離したら嫌だよ?」
幸村の言葉に、私も返すと、幸村はほんのり頬を赤くする。
「ばか、俺がようやく捕まえたおまえを離すかよ」
「うん、わかってる、幸村をほんの少しからかってみたんだ」
「なんだと?」
私のからかいを本気にとらえた幸村は、私を肩にかつぐと城へ入っていく。
「ちょっと、嫌だ、幸村、下してよ」
肩にかつがれ、さすがにその姿は恥ずかしいから下して、と頼んだけれど、幸村は下してくれないまま廊下をずんずん歩き、自室らしき部屋へ入ってしまう。
「ここ、俺の部屋。隣がおまえの部屋な」
かつがれたまま私は幸村の部屋を見回す。
幸村らしいさっぱりとしたお部屋だと思い、私は用意してもらったお部屋を見てみたくなる。
「ねぇ、幸村、下して。用意してもらったお部屋、見て見たいの」