<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第13章 愛の舟 ― 姫&政宗 ―
「その…足りないなんて無いよ。いつもたくさん愛してくれて、政宗に溺れるのが、怖いの」
恥ずかしいけれど思った事を伝える。
政宗は一瞬きょとんとした顔をしたけれど、すぐ片頬に笑みを浮かべ、私の額に口付けした。
「ははっ、何言ってるんだ。もっと、もっと、溺れて良いんだぜ、俺に」
そして、表情を真剣なものにして、私をじっと見つめる。
「他のやつは見なくて良い。俺だけ見てろ。俺をもっと好きにさせてやる」
そんな事言われると、心臓が破裂しそうだよ。
「も…政宗…かっこよすぎ…」
どきどきしながら言うと、政宗は笑って、私の手を取り、甲に口付けした。
「舞、おまえ、かわいすぎ」
甲の口付けは腕に、肩にのぼり、首筋から耳、頬、額、まぶた、そして唇へ。
「舞」
政宗が問い掛ける。
「もう一度、俺に溺れろ」
私は顔が赤くなるのを感じるけれど、政宗の腕に包まれて愛の舟に乗りこむ。
揺らぐ私のからだを、政宗のたくましいからだが覆い、蕩かされていく。
舟はどこまでも流れ、私のからだも政宗によって愛の中へ閉じ込められる。
二人の愛は、この川の流れが続くまで終わらないの。
<終>