<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第124章 寂しさの後に ― 信玄&姫 ―
旅の荷ほどきを舞が手伝ってくれ、早く着替えが出来た。
「ありがとう、助かったよ、姫」
「いいえ、これくらいしか出来ませんけれど、信玄様、お茶を淹れますね」
茶器を用意して、舞はお茶を淹れてくれ、俺は一服する。
舞は袂に手を入れて何かを探していたようだが、それを見付けて俺の前に差し出した。
「幸村には内緒ですよ?」
そう言って俺の前に置いたのは畳紙に包まれた、まんじゅうだった。
「ああ、嬉しいな、ありがとう、舞」
俺はゆっくりとまんじゅうの味を楽しみ、満足そうな俺を舞が見ていた。
「…信玄様がいらっしゃらない間、寂しかったです」
小さな声で舞が言うので、俺は一瞬聞き逃すところだった。
「姫…」
「あ、あの…思った以上に、私、信玄様の事を気にしていたみたい、です…」
赤くなって横を向きながら言う舞に、俺はようやく、と理解し、そっと舞を抱き締める。
「おいで、姫。俺がその寂しさを今から全て埋めてあげよう」
俺の口付けを素直に受け入れる舞を可愛いと俺は思いながら、そっと舞のからだを横たえ、舞の体温をあげるように甘い吐息をつかせ、俺の熱をうつしていった。
<終>