<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第120章 人生は航海 ― 姫&三成 ―
「はい、ただいま戻りました、舞様」
そうして、貴方は私の涙を指で拭ってくれる。
久し振りの二人きりの夜は、私にはときめきのひとときになるよ。
貴方の体温、貴方の吐息、貴方の重み、全て私だけのもの。
貴方を感じて、私は涙を浮かべて、悦びの世界へ飛び立つの。
そんな私を貴方は見下して、甘い微笑みを浮かべて抱き締めてくれる。
「愛してます、舞様」
私もだよ、貴方よりきっと、私のほうがもっと貴方を愛してる。
月の光が私達をそっと照らしているけれど、二人の世界に入り込んでいるから、光と時の移動は気にならないの。
時は留められないから、今を愛し合う、私と貴方。
「舞様、その声、他の人に聞かせたら駄目ですよ?」
私が醸し出す甘く切ない声に、貴方はやるせなくなり、私を更に求めるの。
いいよ、大好きな貴方に、私をもっとあげる。
そんな貴方に私はいつでも恋して、紫の瞳に囚われ抜けられなくなるわ。
「私も舞様に囚われてますよ?」
同じだね、大好きだよ、三成くん。
だから私と、生涯という人生の旅をしようね。
<終>