<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第119章 次は姫をひとりじめ ― 義元&姫 ―
母上は舞をすっかりお気に召している。
だから、ああして具合が悪くなると舞を呼んで、俺から取り上げて独り占めしてしまう。
俺の舞なんだけどな。
ま、母上がお疲れになれば嫌でもこちらに来るから、それからたっぷり二人の時を楽しむから、それまでは譲ってもいいかな。
「義元さん、失礼します」
廊下を歩く足音が止まり、俺の部屋の前で声が掛かる。
俺は声がすると同時に襖を開けると、座って声を掛けている舞の姿が目に入った。
「…わ、驚いた」
舞が目をぱちくりさせて、俺を見上げる。
「どうして?」
俺は首を傾げて聞くと舞は言う。
「だって今、私、こちらに来て、声を掛けたんですよ?途端に襖が開くんですもの」
そりゃあ、俺は舞がいつ来るか、待っていたからね。
足音が聞こえたところで襖に手を掛けて待っていたんだ。
「おはいり」