<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第118章 おんなどうし ― 姫&寿桂尼 ―
「寿桂尼様、具合はいかがですか?」
熱を出された寿桂尼様を見舞うが、寿桂尼様はだいぶ体調も良くなられていた。
「ありがとう、舞殿、だいぶ落ち着いてますよ」
横になったままの寿桂尼様は、私を見て微笑まれた。
「そうですか…ちょっと失礼します」
私は寿桂尼様の額に手を当て、自分の額にその手を当て、頷く。
「そうですね、思った程熱は出てないか、もう、下がっているようです」
「わざわざ来てくれてありがとう。
義元殿も舞殿のお越しをお待ちだと思いますし、こちらは良いですから義元殿のほうへ行ってくださいな」
寿桂尼様は私を義元さんの許へ行かせようとする。
「でも今日の私は、寿桂尼様のお見舞いに伺ったのです。お付きのかたもお疲れでしょうから少しお休みいただいて、その間、私が寿桂尼様に付いていたいのです」
「まぁ、ありがとう。じゃあ、そうね、悪いけれど少しの間、付き添っていただこうかしら」
寿桂尼様が合図をされ、お付きのかたがよろしくお願いしますと頭を私に下げ、お部屋を出て行かれた。
私は枕元に置かれた桶の水で手拭いを濡らして絞り、寿桂尼様の額に載せる。
「おお、冷たくて気持ち良いこと」
寿桂尼様は額の手拭いを喜んでくださり、私は嬉しくなる。