<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第12章 兄の想い ― 光秀&信長 ―
「光秀」
御館様が俺に声を掛ける。
「朝倉の怪しい動きの理由はまだわからぬか?」
「はっ、申し訳ござりませぬ」
朝倉義影が最近怪しい動きを止めぬ、調べろと、御館様は俺に命じられ、まだ三日だ。
三日ではさすがにまだろくに理由を突き止められぬ。
それにしても、いつもなら何もおっしゃられぬが、今回に限り、まだかまだかと急かされる。
何か理由があるのか。
俺がじっと御館様を見ているのに気が付いて、信長様は声を掛けられる。
「光秀、何か言いたいようだな」
「はい。いつもなら三日程度では何もおっしゃられない御館様が、今回に限ってまだか、と急かされる理由を知りとうございます」
「…俺は急かしてたか」
顎を一撫でし、御館様は初めて急かしていた事に気が付かれたようだった。
どうしたというのだ、珍しい事だ。
「光秀、近う寄れ」
「はっ」