<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第117章 助ける ― 家康&姫 ―
「舞が上杉謙信にかどわかされた?」
俺はその事実を耳にした時、からだ中の血が逆流するようだった。
すぐさま助けに行く。
俺がきびすをかえして歩き出したのを、見掛けた秀吉さんから止められる。
「待て、家康、どこへ行く」
俺の肩に手を掛け、歩みを止めさせる秀吉さん。
今はあんたのおせっかいがうっとうしい、離してください。
「家康、一人で助けに行くつもりか」
信長様、わかっているなら行かせてください。
「貴様に行くなと言っても、その様子だと勝手に行きそうだな」
信長様はニヤリと笑みを浮かべ、俺の心中を勝手に探る。
「行くなら必ず舞を助けろ」
信長様の言葉に、俺は力強く頷き、一人馬を駆って春日山城へ向かった。
そして、春日山城の近くで、佐助と真田幸村に出会う。
てっきり俺に気が付いて、敵として出てきたのかと思った。
「謙信様のあれはねーな、舞には無関係だろ?」
つまり、舞を牢から出したいという最終目的は同じものだった。