<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第116章 てんとうむし ― 幸村&姫 ―
「あ、行っちゃった」
舞がてんとうむしの飛んだ方向を見る。
「俺の指はうまくなかったのか?」
俺が冗談めかして言うと、舞は目をぱちくりしてこちらを見た。
「な、何だよ、その顔」
俺が反対に驚いて聞くと、舞はひどく真剣な表情で言った。
「幸村…そういう変な冗談、言うんだね…」
「変なってどういう事だよ」
俺が問うと、舞はケタケタと笑いながら立ち上がる。
「幸村の言葉っぽくないって事だよ、ふふ」
「全く、それぐらいで笑うなよ!」
俺は舞を捕まえようとし、舞は俺から逃げ、二人で庭で追いかけっことなってしまった。
「ったく、どうしててんとうむしから追いかけっこになってるんだよ」
そう思いながらも舞を追い掛け、やがて捕まえる。
「捕まえた」
ぜーぜー言う舞の腰をしっかり抱き留め、誰も居ないのを確認し、舞の額に口付けを一度落とし、ほんのつかの間、舞のからだを堪能した。
さて、この後は夜のお楽しみ、だけど、な。
<終>