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<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹

第111章 弱い、から、強く ― 家康&姫 ―


想いは巡る。

舞が逃げないように、ぎゅっと抱き締める。

「どうしたの、苦しいよ、家康?」

世界は巡る。

「絶対、俺から離れないで。何があっても一緒に居て」

俺の苦し気な表情に、何があったのかと俺の顔を下から覗き込む舞。

昔の記憶がふるいにかけたようにこぼれ落ち、ふとした瞬間に思い出す。

人質だった頃、誰からも愛されず、みじめに人に頭を下げ続けるだけだった、屈辱。

『どうして、あの頃を思い出す?思い出したくない、あの、弱かった自分の頃を』

弱いから、負ける、ならば、強く、なれば、良い。

俺はそこから強くなる為に鍛錬を怠らず、手っ取り早くちからを手に入れていくなら、強者に付き、そこから権力という強さを得てゆく事を知る。

だから、織田信長についた。

この男なら天下を獲り、俺はその横でいつか権力を握る為の、密かに爪を研ぐ用意が出来そうだ。

そんな、俺の思考を乱す、舞の存在。

ちからはとても弱いのに、妙に強い心を持つ、訳のわからない存在に、俺はいらだち、それなのに不思議と惹かれ、気が付いたら俺の横にいてくれる、俺にとってとても大切なおんなになった。
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