<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第110章 想像で変わる ― 光秀&姫 ―
想像が出来ない明日は、どんな日になるのだろう?
日常が戦いの中で、それを忘れるようにおんなの肌を求めてきた。
誰でも良かった、俺の熱を静めてくれさえすれば。
そう舞と出会う前ならば。
「光秀さん、どうしましたか?」
舞が廊下を歩いてきて、廊下の隅に立っていた俺に話し掛けてくる。
俺は無言で指をゆっくり上げて示すと、その先につばめがいるのがわかる。
「あ、つばめ、そうか、もうそんな季節なんですね」
嬉しそうにつばめを見つめる舞が、平和な時代しか生きていない呑気な娘らしい様子なので、俺はつばめではなく舞の横顔を見ていた
「…なんですか?」
しばらくして、俺がつばめではなく、舞を見ていた事に気付いた舞に話し掛けてきた。
「いや、平和で呑気な小娘らしい様子だな、と思ってな」
俺が片頬に笑みを浮かべて言うと、舞は口を尖らせた。
「ん、もう、光秀さんはすぐそうやって私をこども扱いするんですね」
「ほう、こどもではないというか?」
俺は試すように意地悪く舞に問う。