<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第11章 軍神の月 ― 謙信 ―
月見れば 千々にものこそ 悲しけれ 我が身一つの 秋にはあらねど
大江千里とやらが歌った歌。
日々姿を変える月は、まさしく俺を見ているようだ。
戦は俺の命。
どれだけ死人を作ろうと、全てを血で切り開いてきた。
舞に出会い、愛するようになって、俺は、変わっただろうか?
月が欠ける。
俺の全身が疼く。
人を斬りたい。
存分に戦場を馬で駆け抜けたい。
月が満ちる。
俺のからだが欲する。
舞の笑顔が見たい。
舞の全てが欲しい。
物狂おしい情熱が沸き上がる。
舞がこの感情を教えた。
深い海底へひきずられる感情を、振り払う術を教えてくれたのは舞。