<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第107章 言葉より態度で ― 三成&姫 ―
つばめのさえずりが聞こえる。
「もう、こんな季節なんだね」
そのさえずりを聞いて、舞様は廊下を掃除する手を止められた。
「どうなさいましたか?」
ちょうど通りかかった私は、手を止めて空を眺める舞様に話し掛けた。
「あ、三成くん、あのね、つばめのさえずりが聞こえたんだよ」
舞様は教えてくださる。
「つばめ、ですか…」
正直私には鳥のさえずりなど、どうでも良いものの一つです。
でも舞様が嬉しそうにそれを聞いていらっしゃる姿を見ていると、大切なもののように思えてくるから不思議です。
「…三成くん、どこ行くの?」
「はい、書庫にこの本を戻しに行くところです」
どっさり両手に抱えた本を少し持ち上げ、舞様にお見せします。
「片付けるの、手伝おうか?」
「よろしいのですか?でも今、お掃除の最中ですよね…」
「あ、こっちは終わったところなの。片付けてすぐ行くから、先に書庫へ行ってもらって良い?」