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<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹

第106章 気付かぬ片想い ― 三成&姫 ―


雨が降りそうな日、私は舞様を迎えに傘を持って歩いていました。

信長様から依頼された品を、舞様が秀吉様の御殿までお持ちくださるという事で、私は舞様が雨が降って濡れてはいけないな、と思っていました。

「…やはり降ってきましたか…」

ぽつり、と私の顔に冷たいものが当たり、それはどんどん量を増やしていき、私は傘を広げたのです。

そろそろ舞様に会ってもおかしくない頃合いですね、と思っていたところ、けぶる雨景色の中、舞様と思しき着物の色と、一緒に傘をさして歩く殿方の姿が見えました。

「あの着物の色からして、光秀様、ですね」

何故、光秀様が舞様と一緒に歩いていらっしゃるのかわかりませんが、もしかしたら光秀様がお帰り途中で舞様を送ってくださったのかもしれません。

私は歩みを早めて、舞様をこちらの傘に迎えようと進みましたが、その時目の前のお二人は足を止め、明らかに隠れた傘の中で口付けをしたようでした。

私は初めて知りました…お二人は恋仲だったのですね。

私はどうして良いのか、と、その場で立ち尽くしておりましたが、しばらく傘に隠れていたお二人の顔がやがて傘を上げた事で見え、お二人は私の姿に気が付いたようでした。

「…三成くん…!」

明らかに動揺したような、舞様の声が聞こえたような気がしました。

雨が降る中、お二人が私のほうへ歩みを寄せていらっしゃり、光秀様が口を開きました。

「舞を迎えに来たのか?」
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