<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第105章 貴方を愛してる ― 姫&政宗 ―
戦国武将だもの、小さな物音でも目が覚めるのでしょう?
「もう…ずるいよ、政宗…ん…」
ずるい、と私も抗議するけれど、貴方からの口付けに私はすぐに蕩かされる。
私の夜着は既にぐちゃぐちゃで、昨夜の貴方の愛の激しさを物語っているわ。
それでも貴方の手は私の背中から前へ、と肌を撫でながら動き、その指の優しくてでも肝心なところに触れるさりげなさに、ぞわりと私の肌は粟立ち、また起こされるであろう快楽に期待の視線を送ってしまうの。
「そんな顔されたら、たまんねぇ」
政宗は舌なめずりするように言って、もう一度口付けて私の夜着を肩から落として乱し、貴方の目の前に表れた私の肌に赤い痕を散らしてゆく。
もっと、もっと、貴方に触れて欲しい。
愛されたばかりなのに、私の欲が燃えて、貴方を欲しがるの。
どうして恥ずかしいくらい、貴方に愛してもらわないと済まないのかしら?
「政宗、愛してる。もっと政宗が欲しい」
私が言うと、政宗は少し赤くなって、でも、すぐ色っぽい目付きになり、私に覆いかぶさる。
「おまえ、ほんと、可愛いな。おまえが要らないって言っても知らないからな」
要らないなんて言わないよ。
だから、うんと貴方からの愛を、なにもかも忘れるくらい、私に植え付けて。
「政宗、貴方に溺れたい」
私の言葉に、政宗のからだが深く沈みこんだ。
<終>