<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第10章 夢 ― 光秀&姫 ―
「ほう、どんな状態だ?」
片頬の笑みを浮かべ、俺は舞の顔を覗き込む。
「意地悪、しないでください…」
「俺の、意地が悪いのは以前からだが?」
「そうじゃなくて…」
赤くなって口ごもる舞。
「そうじゃなかったら、なんだ?」
何か言いたいような顔をしているのに、黙りこくった舞。
「…あの…」
しばらくして、思い切って口を開く舞。
「…好き、なんです」
「…」
「光秀さんの意地悪は、甘い意地悪なんです。されているうちに、もっとその意地悪が欲しくなりました」
「俺の意地悪が好きなのか?」
「はい。もっと、して欲しいです」
可愛いやつだ、と心の中で笑い、赤く染まった舞に口付け、する。
舞の言に俺はふと思い当たった。
あれは。正夢だったか。
<終>