<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第102章 手伝いのごほうび ― 秀吉&姫 ―
すぐ外されると思ったであろう俺の手が、なかなか頭からどかないので、舞はこちらを見た。
無表情でぽかんとしているものの、口が半開きでまるで唇だけで誘っているようだ。
そんな色っぽい顔されたら、俺はこの手を益々外せないだろうに。
俺は参ったな、とひとりごち、頭に乗せた手を舞の背中に滑らせ、ぐいと俺のほうへからだを引き寄せ抱き締めた。
「秀吉さん…」
「おまえが煽ったんだぞ、そんな色っぽい唇されたら、俺もたまらねぇ」
反対側の手で舞の頬に触れ、顔を上げさせる。
なんて事ない表情なのに、俺には舞が俺の欲をたぎらせるように思えてしかたない。
何度も角度を変え、口付けをし、それはただ唇を重ねてそれの柔らかさを味わうものから、ぐんと深く口内を舐めつくすものに変わり、俺は口付けをしながらそっと舞を横たえた。
「俺だけのお姫様、家臣めにご褒美をください」
俺は冗談めいて言うが、姫と呼ばれた舞は嬉しそうに微笑み、俺は褒美と称して、舞の帯を解いて着物を暴く。
白い肌が見え、俺はその柔肌に噛みつくように俺の触れた証を付けてゆく。
たかが部屋の片づけを手伝ったはずなんだが。
でもこうして舞を抱く事になったから、模様替えとやらのお陰だったな。
舞の歓ぶ声を聞きながら、俺は深く深く、舞のからだに自分を埋めて二人の世界へ入り込んでいくのだった。
<終>