<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第100章 魔法 ― 姫&信玄 ―
貴方が私を呼ぶ時、私は魔法にいつも掛けられる。
「舞」
「はい、信玄様、何でしょう?」
信玄様の優しい声に、私はすっかり甘えたような態度で接してしまう。
「幸に内緒で、甘いものでも食べに行くか」
信玄様のいたずらっ子のような表情に、私もくすりと笑って頷く。
「ふふふ、内緒、ですよ?じゃあ早く行きましょう!」
二人で城下の茶屋へ行き、信玄様は羊羹とお団子を注文された。
「ここの羊羹は甘くて俺にはちょうど良いんだ」
すぐ、手元にきた甘味を堪能する。
「ほら、食べてごらん」
黒文字で少し切った羊羹を、私の口元に運んでくれる信玄様。
私は遠慮なく、その一口を頂いて、かなり甘い羊羹を咀嚼した。
「わぁ、かなり甘い羊羹なんですね」
私が驚きながら言うと、信玄様は羊羹を口にしてからこちらを向き、そのまま笑顔を見せる。
「でも、美味いだろ?俺はこれくらい甘いのが好きなんだ」
そして、声を低くひそめて、私に耳打ちするように言った。