<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第10章 夢 ― 光秀&姫 ―
舞の夢を見た。
夢の中の舞は、意地悪されても俺の事を好き、と言っていた。
さぁ、実際はどうだ?
「舞」
城の廊下で、誰かの着物を持って歩く舞を見掛けた。
「光秀さん」
呼ばれてくるりと振り向いた舞は、俺の名を穏やかな柔らかい口調で呼ぶ。
「どうしましたか?」
微笑む舞に、秋の少しくすんだ陽ざしが当たり、陰影が際立ち、美しい。
「それは誰のだ?」
手に持つ着物の持ち主を聞くと、政宗の着物だと答える舞。
破れたところの繕いを、舞に頼んだらしい。
「俺も繕い物を頼んだら、やってもらえるのか?」
舞に言うと、もちろんと返事がかえってきた。
「私で良ければもちろんやりますよ」
「じゃあ、これから取りに来てくれるか?」
「はい、どちらに?」