<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第93章 夜明けはまだ ― 政宗&姫 ―
まだ朝には早い刻、先に目が覚めた俺は、隣で眠る舞の顔を見る。
暗い部屋の中で舞の顔ははっきり見えている訳ではないが、俺はそっと手を滑らせて舞の顔を撫でる。
それで輪郭はうっすらとわかるだろう?
「ん…」
撫でられ、可愛らしい声をあげる舞に、昨夜相当愛したはずなのに、またもからだがぞくりとうずくのを感じる。
全く、どこまで俺を狂わせるおんななんだ。
一晩限りで相手にしたおんなは数多いが、ここまで自分が腑抜けのようにさせられたのは、舞が初めてだ。
抱いても抱いても飽きる事が無く、むしろ毎日でもそのたおやかな白いからだに、俺の印を要らないと言われるくらい、隙間なく付けてやりたいと思う。
それくらい俺は舞を愛してのめり込んでいるのだろう。
「…んぁ…まさ、むね?」
起こしてしまったようで、舞が軽く身じろぎして、俺の名前を呼んだ。
俺は隣で片肘をついて頬杖をついて、舞の頭を反対側の手で撫でる。
「も…起きたの…早いね…」
起き抜けの、まだはっきりしない頭と表情が、反対に色気を感じさせる。
ああ、駄目だ、と、俺はからだを傾け、舞に口付けた。