<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第91章 宴 ― 姫&信長 ―
この雰囲気、私は好きだな。
みんなが集まって、何故か安土城の庭で宴会が開かれているの。
暖かくなってきて気候が良いせいもあるかもしれないんだけど、桜はもう散ってるんだよね。
でも楽しそうにお酒を口にし、普段なかなか直接話しが出来ない武将達と家臣の人達が仲良さそうに話している姿を見ていると、現代の部長と新入社員の歓迎会を見ているようで微笑ましいな。
私は信長様にお酌をしながら、みなさんの様子を眺めていた。
「心ここにあらず、といったところだな、貴様」
信長様に横から言われ、はっとした私は、思った事を言った。
「あの、皆さんの楽しそうな姿を見ていたら、現代でも似たような光景があったなぁって、微笑ましく思っていたんです」
「ほう、どんな、だ?」
信長様は愉快そうな眼差しをして、私を赤い瞳で縛りつける。
『もう、相変わらず、見つめられたら私は逃れられないのに…ずるいなぁ、信長様は』
私はそんな事を思いながら、話した。
「そうですね…例えるなら、信長様のように偉い人と、入ったばかりの足軽の人達が、一緒にお酒を飲んで楽しむ場を設ける事があるんです。
私はそれを思い出していたんです」
「現代でもこの光景に似た場があるという事か」