<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第87章 貴女は蝶、私は花 ― 三成&姫 ―
花が咲き乱れる春の野原。
舞様をここに連れて来たら喜んでいただけるだろうか。
私はふと、舞様が喜んでくださる姿を思い浮かべ、舞様をお連れしたくてならなくなった。
「わぁ!綺麗!ありがとう、三成くん」
やっぱり喜んで下さっていて、お連れして良かった、と私は心から思う。
舞様は私から離れて、花々の中をふわふわと歩き回られる。
その姿はまるで軽やかに花の間を舞う、一匹の蝶。
風は舞様の近くを柔らかく吹き流れ、舞様の周りが虹のように煌めく。
『花ではなくて、貴女が綺麗、ですね…』
私は舞様の姿を見て、思う。
あの姿を私一人のものに出来たら。
そんな邪な心も私の中に沸き起こる。
「どうしたの?三成くん、怖い顔してるよ?」
こちらに戻られた舞様に、私が険しい顔をしていたところを見られて、心配させてしまいました。
「申し訳ありません、ちょっと考え事をしておりまして」